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美しいものを求め、感動する心

私のスタジオの前には、花壇があり私は早くにスタジオにいくと、必ず花壇の手入れをいたします。ある日 一人のおばあ様に声をかけられました。

「先生、時々ここからバレエのレッスンを覗いているのでよ。皆きれいでいいですね。バレエをやりたいと思っていましたが、こんなおばあちゃんになってしまいました。

足も悪くもう 動けません。今の子供たちはいいですね。私の若い頃は戦争でとてもバレエなどできませんでした、戦争が終わりどこも真っ暗な焼け野原で食べるものも寝る所もありませんでした。

その中で何か美しいものに触れたくて日比谷公会堂まで白鳥の湖を観にいきました。この世の中にこんなに美しいものがあるのかと感動しました。」とお話をしてくださいました。

私はびっくりしました。食べ物や寝るところがない環境の中、人間の心は美しいものを求めることに...

美しいものを求め、感動する心があるから人間は素晴らしいのです。そこに人としての本質があるのでしょう。

今、私達は物質的に恵まれおり、その人としての本質をともすればおざなりにしがちですが、心を震わす、感動を、美しいものを求める心を忘ないのが人間なのでしょう。

人間の本質は心の豊かさにあるのです。特に日本人としての繊細な感性を忘れないようにしたいものです。

2009年01月20日 18:02