過去に投稿された記事です

甘やかすこと、手をかすこと。

昨日の大岡山校にて

私は生徒が初等科に在籍中の幼稚園や保育園のころは泣いたら抱っこ。
楽しくお稽古して楽しくお話して教えます。
お母様達も娘が心配でスタジオに入り、着替えさせたり抱きしめたりお水を
飲ませたり大変です(~_~;)
沢山愛情を貰い手をかけてあげるのは本当に大事なことだと思います。

ただ新1年生になり進級を希望し、中等科に進級してまで甘やかしてしまうと
生徒が成長できません。
子供達が学校と好きなことを両立させつつ親の協力を頂き好きなことを
続けられるのは親が理解があるか
子供がしっかりした自主性と意志を持ち、上達するように努力をする心を
育み、ひとつひとつ壁を乗り越えていけるようにならないと難しい時代です。

中等科では子供達がしっかり自分の意志を持ちバレエを続け、目の前の
出来事に対処できるようにしたいと、考えながらクラスを受け持っています。

昨日のことです。新1年生がクラスで泣きはじめました。
廻りの子供達はその生徒に声をかけやさしく接していました。
するとまた、1年生はよけいに泣いていました。

私は生徒達に
「泣いている1年生を励ましてあげるのはとてもいいことです。
本当に困っているときには、一番先に手を貸してあげなさい。
でも、必要以上にやさしくしてあげることは、1年生の為には
ならないのよ。
なぜなら、私達、バレリーナはそのうちにトウシューズを履いて
足のほんの小さな円形のところで廻ったりすることを学んでいくのでしょ。
それはサーカスの綱渡りのように難しいことです。

手の先、足の先すべてを鍛えていかないと怪我をする、スポーツのようなものです。
しかもどんなに苦しくても、身体が痛くても他のスポーツ選手のように
顔をゆがめることは許されません。
舞台の上で怪我をしても歩ける限りは自力でそで幕まで戻ってこなくてはいけないのよ。他の人たちより強い心が求められるの・・・だから私は泣いている生徒にも
必要以上に声をかけないの。バレエは厳しい世界だから。」

この話が終わると1年生はピタリと泣きやみ、皆についてレッスンをし始めました。
真剣にまっすぐな目で私を見ていた上級生は大きくうなずき自分のレッスンに集中
しはじめました。
上級生は気遣いながらも上手に手を貸すことを学んでいくのでしょう。
レッスンが終わるころには皆、真っ赤な顔で目を輝かせていました。

きっとこの1年生もバレエが好きになるのだろうなと私は感じました。
どんな大変なことがあってもくじけない心を培ってほしいな。

親も指導者も甘やかすことと手を貸してあげることを取り違えないように
しなくてはと思います。
そして自分自身の心も強く鍛えないといけないですね。


fondyu.JPG

2012年04月12日 11:22